東北農政局長・佐々木康雄氏に聞く

【プロフィール】
 佐々木 康雄氏(ささき・やすお)
秋田県美郷町の旧六郷町出身。東京大学農学部卒。昭和56年入省、大臣官房企画評価課政策調整室長、総合食料局食糧部食糧貿易課長、大臣官房情報評価課長、同政策報道官などを歴任。前任は大臣官房審議官。

 東北は国内最大の食料供給基地だが、農業従事者の高齢化、耕作放棄地の増加、農地の分散錯圃(さくほ)など多くの課題を抱える。「5年度、10年後を見据えた体制づくりが急務。しっかりした生産体制が維持強化されるよう、関係機関とともに総力を挙げて取り組みたい」と抱負を述べた。
 まずは「各地域の話し合いをベースにしたコンセンサス作りが、すべての取り組みの出発点」とし、これを後押しする「予算的な手当て」「制度的な手当て」の3つを組み合わせて、現場の取り組みを応援する考えだ。
 東日本大震災から2年4カ月が経過。「被害からの復旧・復興が最大の課題」であり、地震・津波被害に対する復旧・復興の加速と、原発対応の2つに分けて取り組みを進める方針。特に、原発対応に関しては「影響を多く受けている地域が多々あり、長い期間をかけた地道な取り組みが求められている。これから、現地に足を運んで、被災された方々や関係の方々の率直な思いをうかがい、必要な対策に結び付けていけるように取り組みたい」と現場主義を貫く。
 復旧・復興を進める中で、被災前と同じ形に復旧するだけではなく、6次産業化への取り組みや、新しい経営手法に取り組む意欲的な事例も多く出てきている。「農水省が進める攻めの農林水産業そのもの。東北でも新しい取り組みを拡大していきたい」と意欲を燃やす。