東日本大震災からの復旧、復興工事に水を差しかねない-。東京電力福島第一原子力発電所の事故がとんでもない2次災害を引き起こしている。牛の飼育に不可欠な「稲わら」にセシウムが付着していて大きな社会問題になったが、その構図が今度は建設資材に露呈してきた。
その一つが、建築、土木を問わず建設工事には欠かせない砕石が放射性物質に汚染されていたというのだ。昨年7月に完成した二本松市若宮のマンション1階の室内で、屋外より高めの放射線量が検出された。このため基礎工事に使用された砕石の出所が特定され、原石山が計画的避難区域の浪江町津島にあることが判明した。そして、採取された当該砕石は大震災以前のもので、現地に保管されていたことも分かった。
寝耳に水の採石会社の責任者は記者会見で、国が震災後早い時期に線量を示して立ち入り禁止の措置が採られていれば、と悔やみながらも結果責任を詫びた。環境解析学の専門家は、砕石業者に同情しながら、すべて後手に回る国の対応を厳しく批判する。被害者が加害者扱いされてはたまらない。一刻も早く出荷時の基準値を示すべきだ。
この現象は砕石業界のみならず建設業界全体の危機管理問題ととらえ、行政と一体となって対策を講じなければならない。ことは国策として進めてきた原発の事故に起因するものだから、国の責任は極めて重い。
同じく建設材料として住宅建築になくてはならない木材でも放射性物質汚染問題が横たわる。県は地場産材の活用を推進しており、放射能問題は風評が先行して頭を痛めている。16日の県議会政調会でこの問題が取り上げられ、県は新年度に県産材の出荷前検査体制を構築する考えを明らかにした。
具体的には、県木材協同組合連合会が県内の単協に放射線測定器を設置する方針で、その購入費を補助することになりそうだ。
県は昨年、現在流通している製材品の放射線量を調査した。事故後伐採したものと屋外で天然乾燥した材について、表面仕上げしているスギの柱材を点検したところ、放射性物質量は最大でも空間線量より極めて低いことが確認された。さらに屋外保管のスギ丸太も樹皮を形成層まで剥ぐと、線量は処理前の99・2%軽減したことが実証された。
砕石、木材も含めた建設資材全般に関して国は明確な安全基準値を早急に明示すべきだ。壊滅的な被害を受けた県土の復興を担う建設業界を、加害者にしてはならない。(八島)
(平成24年1月20日号掲載)