野村浩氏(ネクスコ東北支社長)に聞く

【プロフィール】
 野村 浩氏(のむら・ひろし)
昭和29年8月生まれ、東京都出身。昭和52年東京工業大学土木工学科卒、54年同大学院修了後、日本道路公団入社。山形工事事務所長、東北支社建設部長、本社経営企画部長を経て前任は執行役員新潟支社長。

 「これまでの4分の1は東北勤務。皆さんに育てていただき事業を通じて恩返しをしたい。社員も皆同じ気持ちで団結している」と第一声。「何といっても常磐道で約束の開通目標は守る」と固い決意を示す。
 その常磐道は広野・常磐富岡間でカルバートボックス6カ所が破損。撤去と作り直しがネックだ。新地・山元間は橋梁が多く進捗が遅れ気味。人・物を集中投下し26年度の早期開通を目指す。「相双と仙台をつなげることが最大の使命」と言い切る。
 富岡・浪江間は高線量の中の作業が含まれる。被災状況の確認と事故退去時に残された資機材の仮置き場への撤去から始まる。往復40分のスクリーニング・休憩施設との行き来もあり「目指す時期が見えない」としながらも今秋の進捗が大きなポイントと話す。
 老朽化対策も重要で、東北では橋梁はジョイントに融雪用塩が回り桁端が腐食しがち。漏水の凍上も深刻で「損傷しにくい構造など新技術の開発も施工者と一体となり行っていきたい」と意欲的だ。労働力不足に対しては女性、高齢者の活用を挙げ省力化の一方、作業環境の抜本的な改良も必要とした。
 事務所には「震災後の応急復旧は、従来5年かかるところを1年半で行い世界的にも評価された。自信と自負心を持って取り組んでほしい」とも。「逃げない」が信条で「念ずれば花開く」「明けない夜はない」と話す。