五十嵐太乙東北農政局長に聞く

【プロフィール】
 五十嵐 太乙氏(いがらし・たいいつ)
昭和29年生まれ58歳、群馬県出身。東京大学法学部卒。畜産局牛乳乳製品課長、国土交通省土地・水資源局土地利用調整課長、水産庁資源管理部長、国土交通省大臣官房審議官などを歴任。 趣味は音楽鑑賞。娘2人が独立し、仙台市の官舎で夫人と暮らす。
 「東北の農業、地域社会は復興途上。きちんとレールに乗せて一層推進する」と復興を第一に掲げ、その過程において「人・農地プランの作成」「農業の6次産業化」を2つの柱として方向性を示すことを自身の一丁目一番地に位置付ける。
 前任地は西郷村にある独立行政法人家畜改良センター。昨年4月に理事として着任し、放射能災害に苦しむ本県の現状を目の当たりにしてきた。広い観点から復興を指揮する立場となっても「今までにも増して知力、時間を費やしていきたい」と心を配る。
 農地の復旧は、津波被害を受けた約2万haのうち、3分の1の約7300haが完了。農家等への丁寧な説明、意見調整を心がけながら加速化を図る。
 「日本全体の食糧生産基地」としての東北の役割を果たすため、農業農村整備事業については予算が厳しい状況にあっても理解を得て、必要な事業は遺漏なく推進する構えだ。
 再生可能エネルギーは、「昨今の潮流から見て開発、進行はやっていかなくてはならない」として、豊富な資源を持つ農山漁村における可能性に一定の理解を示す一方で、「本業としての農業の妨げにならないか、十分検証しなければ」と、やみくもな推進には慎重な姿勢を示した。